ポスト・コミュニティ時代 その1
『集合住宅をユニットから考える』渡辺真理+木下庸子著 新建築社 2,400円
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渡辺氏
“僕達はそもそも建築家が設計によってコミュニティを発生させられるとは考えてもいない。場所を作ることが共同体を発生させることだとオプティミスティックに考えている建築家はいまどきほとんどいないと思うが,場所を作ることが人間の行為に必ず何らかの制約をもたらすことになるのも確か。建築家としては,むしろ,コミュニティ嫌悪がその対語としてのプライバシーを盲信する状況に人を追い込む場合があることが気になるところである。プライバシーを守ることは確かに大切だし、日本特有の世間というような怪しげなコミュニティと付き合いたくないのは僕も同感ではあるが、僕たちの周りにあまりに閉鎖的な住まいが多くないだろうか。”
木下氏
“家族の生活がユニットで完結して外とのコンタクトなしに展開されていることが,集合住宅の大きな問題だということです。住戸が外に対して閉ざされるということに限界がきてしまったのだと。だから生活自体を外に開いて外の人を住宅に迎え入れる,中の生活が外に出て行けば、社会もそれに応じてお互いがもっと交流をもつように変わるのではないかと思うんです。”
西沢立衛氏
“建築家の提案のほとんどが、インテリアへの提案となっていると感じた。屋外は防犯対策と、あとは室外機置き場という感じで、室内はすごく豊かであるにも関わらず、外に対してはほとんど提案的なことがなかった。インテリアと家具、住宅、庭、通り、都市、というのはすべて連続していると思うのです。
住宅だけに閉ざされる問題ではなく、もっと広い、都市とか生き方、ライフスタイルを示すのが重要なことだと思います。”
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しばらくご無沙汰だった賃貸住宅の計画が最近ふえてきた。
昔と違うのは提案型の企画物件が多いことだ。
既成の枠にとらわれない比較的自由な発想もうけいれてもらえつつある。
というか、融資や制度的なことをトータルで考えていくと多面的に考えざるを得ないのが今の現状。
急速な社会の変化に各部署の法改正がおいつかず、基準法と他法との矛盾が整備されていない。
考えようによっては私達の腕の見せ所でもある。
とはいえ,あくまで賃貸なので経営上成立しないようなものは論外である。
それでも昔に比べて許容の範囲がものすごく広がったように思う。
<クライアントの質が変わったということもできるが>
昔は年寄りの一人暮らしは敬遠されるからとマンションを買う動機になったりしたものだけれど,近頃では予測に反し高齢者専用住宅が大流行だ。(世の中予測通りにも変化しない。)
時代も変われば社会のニーズもどんどん変化する。
建築もその時々の社会を反映しながら変化してきた。
が、この本の本筋
『住まいはプライバシーを守る器としては進歩したかもしれないが、
パブリックという視点は欠落するばかりだった。』
山本理顕氏
“外側と鉄の扉一枚で完全にきれてしまう完全密室が本当によいのか。
家族という単位は密室の中にそれほど閉じていないといけないものなのか。
昨今起こる様々な事件は、家族が密室化していることが原因ではないかということがたくさんある。”
これが最近の私のテーマ。